Feb. 03 2019
5期生 Blog ケン

第67回 勝田全国マラソン体験記

こんにちは!チームサッカニー5期生のケンです。
1月27日の勝田全国マラソンにて、小刻みなアップダウンや寒さに耐えながらも自己ベストを更新したので、感想を記します。

辛い。苦しい。痛いの三重苦。それが僕が過去4度経験してきたフルマラソンだ。
それでも僕が走るのは、まだ見ぬ自分に出会うため。
4時間にも渡る自己との闘いに、「やり切った」という少しの自信が欲しいのかもしれない。

レース開始の1時間前、僕はそそくさと会場入りした。
勝田全国マラソン。
今年で67回目を迎える伝統的な大会だけに、多くのランナーで溢れている。
レース前では、ランナー同士その日のレースプランや目標タイムを披露し合うのが恒例行事だ。
「グロスでサブ4」。
僕はお決まりの目標を宣言し、ゼッケンに書かれたEブロックへと向かった。

前日の大寒波の予想とは裏腹に、雲一つない青空が広がっている。
「今日は良いタイムが出るぞ」。
これから待ち受ける困難への恐怖心を打ち消すかのように、僕は自分に言い聞かせた。
心を落ち着かせて、静かに号砲を待つ。

そんな時、見慣れた顔が目に飛び込んできた。
同じチームサッカニー5期生のふっちーさんだ。
前日から約束していたスタート前の記念撮影を行い、お互いの健闘を誓った。

スタート前にふっちーさんと撮影

「おんゆあまーく」。ネイティヴに少しも寄せようとしない号砲の合図に、ランナー達から笑みが溢れる。
青空に鳴り響く信号雷とともに、42.195キロの旅が始まった。

沿道の歓声を聞き分けるかのように、僕はゆっくりと走り始めた。
調子はどうか、痛い箇所はないか、自分の身体に問いかけていく。
長時間のレースでは、心の機微を捉えることが醍醐味の一つだと感じる。
状況によって刻々と変化する心を、どれだけ正しい方向に導けるか。
「イケる」という期待と、「また35キロ地点で失速かも」という不安を行き来しながらも、淡々と歩を進めていった。

緩やかな登りを経て、8キロを通過。
身体も暖まり、ここからペースを上げていく。
新田コーチから教わった地面反力を意識。地面を蹴るのではなく、置く感覚を実践できるようになってきた。
1キロ5分を切るペースでラップを刻み、
すぐに10キロも通過。
ときおり無意識にペースを上げそうになる自分を制して、
「まだ我慢、まだ我慢」と言い聞かせる。

1時間49分34秒で中間点を越え、後半戦へ。
「このまま行けば、3時間40分前後でゴールだな」。
目標タイムを達成できることを確信し、さらに力が湧いてくる。
この地点で、理想的なレースプランとされる「ネガティヴスプリット」が目標になった。

25キロを過ぎても余裕があり、さらにペースを早めていく。
後ろのランナーに抜かれることもなくなり、ひたすら前だけを追う。

今シーズンはハーフ以上の距離を走っていなかった為、
もう未知の領域だ。
今の自分が35キロのカベに立ち向かえるのか。
最大の難所が近づくにつれて、気持ちの変化が忙しくなる。

これまでのフルマラソンは、必ず35キロで失速をしてきた。
どんなに力を入れても、身体が動かないあの感覚。
それも、突然襲ってくるから厄介だ。

恐るおそる35キロ、36キロを通過。手元の時計で4:40/km。
この日の最速スプリット。
それは、自分自身が自分の想像を超えた瞬間だった。
もう怖いものは何もない。
勢いそのままにゴールへと飛び込んだ。

ゴールシーン

3時間38分48秒(net:3時間34分14秒)。

目標を達成しても満足感はない。
そこには、スタート前には見えなかった世界が広がっているから。

「理想の自分」にはきっと辿り着けない。自分が歩いた分だけ世界は広がっていく。
だから、僕は走り続けるしかなさそうだ。

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